2017年6月25日日曜日

29年6月 月例早朝坐禅会「指月の会」案内


技能オリンピックに向けての栃木HONDA若手坐禅会


 
病んで医王に会うとも いかでかいゆることをえん。 『証道歌』
 
 
 
以前仕事が立て込んで、忙しい状態が数か月続いていたとき、睡眠時間が極端に短くなってしまう、そんな時期がありました。
 
 体力にも余裕がなく、受け答えにも少々とげが見え隠れしてしまう、そんな状態だったので周囲の人が心配して快眠の本なるものをよこしてくれました。
 
 病人扱いされたようで少々カチンとしましたが、心配してくれたことでもあるしお礼を言って持ち帰り、読んでみました。
 
 冒頭文で、「睡眠時間の低下ははっきり病気、障害の類だ」と書かれていて、そこで初めて「ああ、自分は(程度こそあれ)病んでいるのだ」と自覚するようになったのです。
振り返ってみれば、自分は健康体であるという驕り、そして健全でなくてはならないというバイアスが知らず心の中にありました。
それが病人であると認識し、受け止めることでようやく、具体的な対処療法を行える心持ちになったのです。
 
 その本の中でいくつもの方法が書かれていましたが、基本的には身体と心をリラックスさせて眠りやすい状態にしてから寝る、というものでした。
 
 なので私は簡略ながら、寝床に入る前に坐禅を行うことにしました。
 
昔脳科学者が坐禅を行っている人の脳波を調べた所、興味深いことにはっきり覚醒していながら寝ているのと変わらない脳波が検出されたそうです。
これをどのように解釈するべきか難しいところですが、科学で明示される安楽の境地、と言ったところなのでしょうか。
 
 おかげで全面的に、とはいきませんが、ある程度睡眠も改善されるようになりました。
 
                           祥雲寺副住職 安藤淳之
 
 
一人で修行を行おうとすると、怠けてしまったり後回しにしてしまい続かない場合もあります。
ですがみんなで行えば、難しいことでも楽しく行えるはずです。
この朝坐禅会はそのような場となるよう始めました。
一日の始まりを迎えるこのひと時、ご一緒に「かろやかに」生きてみませんか?


日時:6月26日(月)朝6時半~8時(途中参加、途中退出可) 既に終了
     6時30分~7時10分(一回目の坐禅)
     7時20分~8時    (二回目の坐禅)

場所:祥雲寺本堂一階

用意:身一つで大丈夫です。
    足の組めない方は椅子での坐禅もできます。



また、祥雲寺では毎週水曜夜6時(第四水曜のみ休み)、雀宮布教所「善応院」にて坐禅会を行っています。


2017年6月17日土曜日

平成29年六月 観音朝詣りのお知らせ

石割の桜の木

観音様の台座から十年かけて成長したので台座を調えなおしました。

 私は「忖度(そんたく)」という言葉が好きで、昔から使ってきました。
人の心を推し量るという意味ですが、相手の立場を思いやって尊重するという語感があります。
相手への敬意と、自分の志も保たねばならないという自戒を含んでいて、凛(りん)とした言葉だと思っています。

 ところが、現在かまびすしい学校開設認可をめぐる疑惑事件の報道で、一部の政治家や官僚の「忖度」は私のイメージとは違った使い方であることを知りました。

 テレビ番組で、政策決定のゆがみを告発した前文部科学省事務次官のインタビューを見ました。
印象としてこの人の言うことに嘘はないと思いました。

 そこで気になったことがあります。
それは、内閣府の高官が、文科省の担当者に対し
「これは官邸最高レベルの考えである」
というような言葉で許認可の変更を迫っていることです。
これは、権力を持つ者が、命令ではなく、より大きな権力を持つ人の意向を伝えて、下の者に推し量らせて目的を達成しようとしているのです。
上にいる人間の都合のよいように推し量ることができない、すなわち忖度することができなければ、不利益になるぞと脅しているのです。

 命令は責任が伴います。
しかし、下の者が上の意向を忖度してそれに従った決定をするならば、言質を取られることもなく、責任を取らされる証拠も残さないで事が運べるのです。
これがどんなに危険なことか。
決して忘れてはならない前例があります。

 かつて日本が戦争へと突き進んだ時に、政界や軍や官僚機構で同じようなことが行われました。
責任の所在が曖昧になり、結局「一億総懺悔」という言葉で、一番悲惨な目に遭った国民全体の責任にしてしまいました。

 そんな結果を生み出しかねない政治の手法として「忖度」が使われるのならまっぴらです。
どんなよい言葉でも、使う人間の心根によって薄汚れていってしまう、そんなやりきれなさを感じています。

平成29年6月15日
                                      祥雲寺住職 安藤明之

十八日の朝詣りは午前6時から行います。