2017年3月17日金曜日

平成29年三月 観音朝りのお知らせ

境内に咲く梅の花、もう冬も終わりです。


 東日本大震災から六年が経ちましたが、被災地の傷跡はまだまだ残されています。
とりわけ原発事故に見舞われた福島県の現状は深刻です。
放射能の除染が終わり帰還可能とされた地域でも、帰らない人が多い。
避難先で生計が立つようになった人にとっては、いかに住みなれ愛着のある故郷であっても、人が少なく将来の見通しが立たない状況の所に帰るのは勇気がいるでしょう。
それがさらに過疎を進めます。
ともかく、簡単に解決することではありませんから、これからも長い支援が必要でしょう。
国や公共機関だけでなく、私たちが息長く続けていくことです。

 そんな中で、何とも悲しい出来事が起こっています。
疎開した子供達が、いじめを受けている例がいくつもあるというのです。
それも、放射能を持っていて危険だからなどという、ありようもない理由です。

 転校生がいじめられることは昔からありました。
子供故の未熟によることで、いじめ自体が親や教師や世の大人達が正さねばならないことですが、放射能ゆえというのはやりきれない情けなさを感じます。

 あの時、私たちは迫りくる大津波に逃げる人々、なすすべもなく飲み込まれていく家々や車を見ていました。
あの中にはどれほどの人がいるのだろうと胸潰れる思いであり、安全なところにいてテレビ画面で見ていることに申し訳なささえ覚えました。
そして福島第一原発のメルトダウン。
緊張を持って政府の発表を待ちました。

 人ごとではない、本当に悲しみ、悼み、思いやる。
そんな気持ちが国民に共有されていたと思います。
いま、子供達がこんなことを言うのは、大人達の気持ちがいつの間にか震災の被害を人ごととするようになってきたからでしょう。
あの出来事は簡単に忘れてはならないことです。

 3月11日、震災慰霊塔の前で七回忌の追悼法要をいたしました。
参列者は数十人でしたが、回向の写経が600枚以上納められました。
たくさんの方々の追悼の気持ちを代表して手を合わせ、深い祈りをすることが出来ました。
 平成29年3月15日
                               祥雲寺住職 安藤明之

十八日の朝詣りは午前6時から行います。




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