山門前の百日紅(さるすべり) |
リオ五輪で、女子レスリングの吉田選手が負けてしまいました。
彼女は、女子レスリング全体を引っ張ってきました。
その責任感から、何が何でも負けられないという強い使命感を背負っての戦いでした。
負けた瞬間、彼女はマットにうつぶせになって泣いていました。
直後のインタビューでは、
「沢山の方に応援していただいたのに銀メダルになってごめんなさい。申し訳ない。何とか最後は勝てると思っていて、自分の力を出し切ることが出来なかった。日本の主将として申し訳ない。」
と、「申し訳ない」の繰り返しでした。
表彰式になってメダリストたちがずらりと並んだ時には、魂が抜けてしまったような姿で立っていました。
台に上ってもそれは変わりませんでした。
不敗の王者として、世界中から目標にされ、弱点も調べ尽されていたはずですから、負けることも大いにあり得ることで、銀メダルに終わってもだれも非難などしません。
観衆は盛大な拍手を送りましたが、それでもうちひしがれた姿は変わりませんでした。
金メダルのアメリカの選手は、吉田選手に敬意を持っていたようです。
はしゃぐことなく控えめにしていました。
それでも表情に喜びが自然にわき上がってくる。
それが対照的でした。
でも、私は、このときの悄然とした姿に感動しました。
全身全霊を傾けて敗れるのならばこんな姿でいたいと。
式後のインタビューの言葉は、私にとってさらに素晴らしいと思えるものでした。
亡きお父さんとどんな言葉を交わしましたかと問われて、
「父が居ないオリンピックは初めてだったのでどこかで助けてくれると思っていたかもしれない・・・。
お父さん私をここまで育ててくれてありがとうって言いたいです。」
正直な言葉だと思います。
最後に感謝が口に出たのが素晴らしい。
神仏への額(ぬか)づきと相通じると思いました。
平成28年9月15日 祥雲寺住職 安藤明之
十八日の朝詣りは午前6時から行います。
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