2017年11月26日日曜日

29年11月 月例早朝坐禅会「指月の会」案内



無縁供養塔横の大銀杏


 もうじき12月、今年も一年が過ぎようとしています。

 この時期になるときまって思い返すのが永平寺での修行時代、一週間の集中坐禅修行「摂心」の時です。

 お釈迦様は29歳で出家され、6年の苦行生活の後、菩提樹の下での一週間の坐禅に入り、悟りを開かれました。
その故事に倣い、禅宗の寺院では12月1日から一週間起きてから寝るまで只管坐禅を行う「摂心」という修行を行います。

 15年前の私もまた、福井永平寺でこの修行を行いました。
当時の私は、坐禅が言葉ばかり先行した、無意味で退屈な慣例としか受け取ることができず、毎日の坐禅は漫然とやり過ごすものにすぎませんでした。
しかし摂心に臨み、朝3時から夜9時まで坐禅三昧ともなると、これまでのようにやり過ごすこともできず、心身の消耗にあえぐばかりでした。
数日が過ぎて、朦朧とした意識の中で、同じく消耗した仲間との軋轢に悩んでいると、ふと、それまで頭を悩ませていたあれこれがすとんと腑に落ちて、ラクに坐禅ができるようになりました。
摂心を終えて僧堂を出てみれば、福井の山中の冷たい夜気が今までと違って胸に心地よく、仏さまを模した配置の永平寺七堂伽藍が、懐の深いものなのだと訳もなく感じられる自分を不思議に思いながら床に就きました。
私が坐禅を、退屈なだけの慣例などではなく、素晴らしい行なのだと受け取れる様になったきっかけの時です。

 私は永平寺できっかけを、總持寺で確信を、御誕生寺でそれを語る言葉と姿をいただくことができました。
その素晴らしさを、有り難さを多くの方に知ってもらいたい、その思いでこの十年坐禅会を続けてきました。

 この時期、寒さ深まる12月を前にすると、あの時の雪降り積もる永平寺をいつも思い返します。
この道の、仏道の尊さを思い返させてくれる肌寒さを有り難く感じる自分で有る様、明日もまた坐禅に臨みたいです。

                           祥雲寺副住職 安藤淳之



一人で修行を行おうとすると、怠けてしまったり後回しにしてしまい続かない場合もあります。
ですがみんなで行えば、難しいことでも楽しく行えるはずです。
この朝坐禅会はそのような場となるよう始めました。
一日の始まりを迎えるこのひと時、ご一緒に「かろやかに」生きてみませんか?

日時:11月27日(月)朝6時半~8時(途中参加、途中退出可) 

     6時30分~7時10分(一回目の坐禅)
     7時20分~8時    (二回目の坐禅)

場所:祥雲寺本堂一階

用意:身一つで大丈夫です。
    足の組めない方は椅子での坐禅もできます。


注意:初めての方は最初に指導を行います。
    その為可能ならば一回目の坐禅から参加されてください。
また、祥雲寺では毎週水曜夜6時(第四水曜のみ休み)、雀宮布教所「善応院」にて坐禅会を行っています。

尚、12月の坐禅会は第三週の18日(月)に行います。


2017年11月15日水曜日

平成29年11月 観音朝詣りのお知らせ


境内の紅葉

寺の屋根にとまるアオサギ。


 日本では仏壇と位牌をとても大事にします。

 仏壇の起源についてはいろいろな説があります。

 古代に帰属が仏像を屋敷内に祀った持仏堂が小型化したという説。
家の中に祀られたであろう小さな仏像がインドやシルクロードの遺跡からもたくさん出土していますから、日本だけでない古い起源になります。

 お盆に先祖の御霊を供養するために設けた盆棚が家屋内に常設されるようになったという説。
7月15日に川の畔で亡き人のために供養をするのは現在のヒンズー教でも行われていますので、盆供養はインドに由来しますが、棚を設けたかどうかは分かりません。

 鎌倉時代に先祖を祀るために室内に置かれた「押し板」という床の間の起源と同じものが変化したとする説もあります。

 位牌は中国のものです。
死者の名前や官位を記して祭礼に用いたものですが、鎌倉時代以降に禅宗が伝え、戒名が記されて礼拝されるものとなりました。

 仏壇とお位牌の組み合わせが広く普及したのは江戸時代です。
日本独自の信仰文化といっていいでしょう。
そして、とても素晴らしいものです。

 何が素晴らしいのかというと、感謝を捧げるものが身近に会って、毎日少しの時間でも感謝のひとときを過ごすことができるからです。

 仏教徒として正しい生き方の根本にあるのは「感謝」です。
お釈迦様は、人間がこの世の無限の恵みによって生かされていることを自覚し、生きとし生けるものと共に生きていることを喜びとすることが感謝であり、それが幸せへの道であるとお説きになりました。

 仏壇に祀られている父母は、直接に私たちに命を与え育ててくれた人であり、その先にはご先祖がいらっしゃいます。
その前で感謝の思いは自然に湧き上がります。
その感謝の思いを、さらに大きな天地万物への感謝へと導いてくださるのが仏壇の中心の本尊様です。

 毎朝、仏壇の香炉にお線香を立てて心を込めておまいりをすることは、私たちが正しく生きていくことができる支えとなります。

 平成29年11月15日
                                         祥雲寺住職 安藤明之

十八日の朝詣りは午前6時半から行います。