29年8月29日 大施餓鬼会 |
下町の屋根を 温める太陽は
貧しくも 笑顔を消さぬ 母の顔
悩みを夢を うちあけて
路地にも幸のくるように
ああ太陽と 今日もまた
「下町の太陽」3番
「下町の太陽」、私はこの歌が大好きです。
倍賞千恵子の歌う声を聞くと、涙が出てくるくらいに。
高度経済成長の始まり、所得倍増計画が打ち出された昭和30年代半ばの日本はまだまだ貧しさの残る時代でした。
私はお盆の棚経でお檀家を巡(まわ)っていたのですが、小学校の私でも本当に貧乏だなあと感じる家がいくつもありました。
大概は家族に病人を抱えた家だったのですが。
でも、希望があった。
廃墟から歯を食いしばって復興を成し遂げた親たち、その姿を見て育った子供たち。
社会に勢いがあり、頑張れば未来は開けるという希望に満ちた、もしかすると一番幸せな時代だったかもしれません。
最近、東京の映画館で倍賞千恵子出演の映画の特集があり、その頃の映画を続けて見ました。
東京の下町。そこで繰り広げられるのは貧乏なればこその悲哀。
それを乗り越えていく力の源は、家族の絆と、同じ境遇にある者たちの連帯です。
だましあり、裏切りあり、挫折あり。
そんな境遇を愛情と信頼と勇気で懸命に切り開いていくストーリーに胸打たれました。
映画の中の虚構ではなく、私の周りにいた人たちのことと受け取れたのです。
いま放映中のNHKの朝ドラマ「ひよっこ」も、集団就職の若者たちを主人公に昭和40年代前半の時代を描いています。
現在70歳代から60歳代後半の世代の人たちの青春が、なつかしみをもって思い出される時代になったわけです。
現在は、社会全体としてみればあの時代に比べればはるかに豊かです。
しかし、貧困がしわ寄せされた多くの人たちが存在し、しかも若者たちが希望を持つことができないでいるように思えます。
これをなんとかしなければなりません。
平成29年9月15日
祥雲寺住職 安藤明之
十八日の朝詣りは午前6時から行います。
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