祇園精舎 アーナンダ菩提樹にて |
祇園精舎のほど近く、アングリマーラーの隠れ住んでいた石室 |
指鬘改悔の所「・・大きなストゥーパがある。アングリマーラ(指鬘外道)が邪心を捨てた所である。」
玄奘三蔵『大唐西域記』
インドの北方、ネパールとの国境近くに祇園精舎があります。
祇園精舎は数ある精舎(僧侶たちの修行場)の中で、お釈迦様が最も数多く留まられ、比丘たちと起居された場所です。
この祇園精舎のほど近くに、この地を統治していたコーサラ国の首都舎衛城の遺構があり、その隣にアングリマーラの石室があります。
アングリマーラは殺人鬼です。
生まれた時町中の刃物が輝き、予言に凄まじい殺人鬼になるとまで言われましたが、王の顧問であった父の庇護のもと健康に育てられます。
優秀な若者として育ちますが周囲の妬みを買い、それがもとで師匠があがめる神との約定、人間の指1000本を捧げるという契約を代行することになります。
元来秀でていたアングリマーラは能力を発揮し、凄まじい殺戮をするようになってしまいました。
人殺しを続けてまもなく1000本となる時、最後に生みの母親を殺そうとするのを聞いてお釈迦さまは哀れまれ、アングリマーラの前に立たれます。
遠くにお釈迦様を見つけ、アングリマーラは「こら比丘待て」と言いますが、お釈迦さまは待たずに歩まれます。
歩まれながら
「お前が待ちなさい、私はとっくに待っているのだよ」
と返されました。
アングリマーラは、出家者はうそを言わないはずであるのに何を言っているのか、疑問に思い「何を言っている?」と問いかけます。
お釈迦さまは
「お前には心の汚れがある。怒りがある。憎しみがある。
ずっと人殺しをし、生命を殺してきた。
それではいつまでたっても限りなく輪廻転生して、地獄に落ちながら限りなく歩く羽目になるのだよ。
私は心から一切欲をなくして、一切行為をなくして、
完全に停止しているのだから、私はまさに止まっているのだ。
私には地獄も、天国も、輪廻すべき場所は何もないのだ」
それを聞いて真理を知り、アングリマーラは罪を悔いて出家し、お釈迦様の弟子となります。
以後大変な苦労をしながら修行を続け、ついには長老と呼ばれるまでに長じられたとのことです。
仏教というのは読んで字のごとく、仏の教え、そして仏となる教えであります。
真理を知り、その智慧を自分の眼として観るとき、人は自らを苛む苦しみから遠ざかり離れることができます。
その修行として、古来坐禅は行われてきました。
人が清らかになる道とはどのようなものであるのか、アングリマーラのエピソードはそれを教えてくれています。
祥雲寺副住職 安藤淳之
一人で修行を行おうとすると、怠けてしまったり後回しにしてしまい続かない場合もあります。
ですがみんなで行えば、難しいことでも楽しく行えるはずです。
この朝坐禅会はそのような場となるよう始めました。
一日の始まりを迎えるこのひと時、ご一緒に「かろやかに」生きてみませんか?
日時:3月28日(月)朝6時半~8時(途中参加、途中退出可)
6時30分~7時10分(一回目の坐禅)
7時20分~8時 (二回目の坐禅)
場所:祥雲寺本堂一階
用意:身一つで大丈夫です。
足の組めない方は椅子での坐禅もできます。
また、祥雲寺では毎週水曜夜6時(第四水曜のみ休み)、雀宮布教所「善応院」にて坐禅会を行っています