除夜の鐘終わって、元朝祈祷 |
祈祷終わって、巡堂終了は夜明けのころ |
祥雲寺のお正月は、午前2時頃から始まります。
元朝祈祷といいますが、大般若経理趣分というお経を読み、檀信徒の一年の幸せを祈ります。
灯りはロウソクだけ、ほの暗い中で作法に則って読経することおよそ一時間、新年に皆様に差し上げている立春大吉のお札はこのようにして祈祷したものです。
祈祷というと、商売繁盛や現世利益の霊験を期待して行われる法要ととる人もいると思います。
しかし、祈祷の意味はもっと広いもので「祈り」という言葉で表すほうがより適切です。
お寺で行われている朝のお勤(つと)めは、ほとんどの宗旨が々形式をとっています。
最初に本尊さまを礼拝し供養するお経が読まれます。
そして「回向」といって祈りの言葉が読み上げられます。
曹洞宗の言葉でいうと
正法興隆 仏さまの教えが世に遍く行き渡りますように
国土安穏 国が安泰でありますように
万邦和楽 世界が平和でありますように
福寿長久 人々が幸せでありますように
という祈りで、言葉は違っても各宗派大体々意味の祈りがなされています。
仏教が伝わったときに、古代の人は仏教の精神で国を造っていこうという国家ビジョンを立てました。
聖徳太子が制定したと伝えられる十七条憲法です。それが具体化されたのが、奈良の東大寺です。東大寺建立の祈りはそのあとの仏教宗派に受け継がれていきました。
日本の仏教の歴史は、国を中心として仏さまに祈るあり方から、民衆がおのれの悩み苦しみの救済を仏さまに祈ることを中心とするあり方に変わっていきましたが、出発点が間違っているわけではありません。
世の中すべての平安と、一人ひとりの幸せを祈る、それが仏教の祈りです。
この年が、皆様にとって良い年でありますように。
平成27年1月15日
祥雲寺住職 安藤明之
十八日の朝詣りは午前9時から行います。