涅槃会 遺教経読綬(於 祥雲寺室中)
汝等比丘、諂曲(てんごく)の心は道と相違す。この故に宜しくまさにその心を質直にすべし。 [仏遺教経]
「諂曲」こび、へつらい。 「質直」正直、すなお
2月15日はお釈迦様が入滅された日、涅槃会です。「仏遺教経」は、急を聞いて集まってきた比丘(弟子)たちになされた最後の説法として伝えられたお経です。
お釈迦様は弟子たちに向かって、私がいなくなっても、志を持って真実の道を歩みなさいと諭(さと)されます。
媚(こ)び、へつらいは他人に迎合し、自分の主体性を放棄した生き方です。志を持って生きることとは反対です。へつらいを捨てて誠実に生きなさいとおさとしです。
遺教経ではこれに続いて、「小欲」と「知足」の法が説かれます。
欲多き人は自己の利益を求めて、それが満たされずに苦悩することになる。欲望を充たさんがために人に媚びへつらって、自分の本当に生きたいと思う道を歩むこともできなくなってしまう。また五官の欲望に振り回されて道を踏み外したりすることともなる。欲望には自制が必要である。・・・これを小欲として説かれました。
苦悩から抜け出ようとするならば、現在のものごとを節度と満足をもって受け止めなければならない。心に余裕が生まれ、煩悩の波風に揺り動かされることもなくなる。・・・これを「知足」として説かれました。
「小欲」と「知足」は表裏一体の関係にありますが、お釈迦様はこの小欲知足を、ただ悩みから脱却するための手立てとしてお説きになったのではありません。欲にとらわれて、自分の道を見失うことを戒め、正直に誠実に生きてゆくことを第一とし、そのための基本の心構え、実践のあり方としてお説きになっているのです。
平成22年2月13日 祥雲寺住職 安藤明之
十八日の観音様の朝詣りは
午前6時半から行います。